Toots Thielemans Live in Blue Note Tokyo

Karel Boehlee(p)Bart De Nolf(b)Bruno Castellucci(ds)
SpecialGuest--Oscar Castro-Neves(g)

前回は98年10月で転居前の場所だった。実に2年半ぶりのブルーノート東京への来日だ。
いつも30分位前にマネージャーさんがギターとハーモニカ(今回は3本だった)をステージに持ってきて置いておく、ハーモニカ3本の内1本はトゥーツが座る椅子に置いた。これが今日使う調子のよい楽器なんだろう。残りの2本はギターアンプの上に。クロマチック・ハーモニカは突然スライド・レバーのバネが折れたりゴミがリードに挟まって音が出なくなったり等のトラブルがある。トラブルがなければ他の2本は使うことはない。ハーモニカはホコリが大敵で普通丁寧にケースにしまっておくものだが無造作においてある。2ndが始まる前にスライドレバーが糖分?で貼りついていたようでレバーを動かしたら「バキッ」という音が聞こえた。弘法筆を選ばずというか楽器に無頓着なんだな〜と思われる。だいたい「ハーモニカの1本位自分で持って来いよ〜!」とも思ってしまう。ハーモニカ・メンテナンスの第一人者・田中さんもトゥーツの楽器の状態はひどくよくこんなの吹けるなぁという状態だったと以前に言っていた。
開演10分前になると、ステージに近い席は禁煙となり灰皿が回収される。そういえば前回は僕は喫煙者だったなぁ…定刻通り入場、いつもは他のメンバーが先でトゥーツは後だったが、今回は先頭でステージへ相変わらず足下は怪しくステージ上の障害物につまずきそうになりつつ用意してある椅子に腰掛け演奏スタート。

Monday, April 9, 2001
1.In Your Own Sweet Way
2.I Loves You, Poggy
3.Summer Time
4.I Do It For Your Love
5.Three Views Of Secret
6.Felicia and Bianca
7.Estate
8.Wave
9.Velas
10.What a Wonderful World
11.Manaha De Carnaval
12.Bluesette
13.Hard To Say Good Bye
*Oscar Castro-Neves(6-8,11-13)

う〜ん、なんか良く言えば美しい音なんだけど、盛り上がったとこでフルトーンで吹くってことがないな〜調子悪いのかな。ピアノの人はおもしろいコード弾いていいんだけど、ケニー・ワーナーの凄さが改めて解った。
何となく、いまいちかな〜って思ってたらオスカー・カストロ・ネビス登場……でも、いざ弾こうと思ったら音が出ない数分いろいろやって結局ドラムに用意していたマイクを使った。で始めたデュオの「Felicia and Bianca」が最高!いまいちかな〜って気分がすっ飛んだ。トゥーツの音もだんだん出てきた。
What a Wonderful Worldはサッチモ・トリビュートでエンディングで「ファソラドシb ファソラ休ドーファーーーー」とかやってた。
ブルーゼットはブラジル・プロジェクト・バージョン、トゥーツはハーモニカでプレイ。なんと全曲ハーモニカだった。

1st終了、満足〜と思ってトイレに行って出てきたら。なんとトゥーツが小さいテーブルの椅子に腰掛けてファンの人と話しをしてるではないかぁ!!!ドキドキしながらポケットに用意しておいた「Only Trust Your Heart」のCDを差し出しサインをもらった。「おーっ、これは私のCDじゃな」みたいなことを言ってたが、英語のわからない僕は小声で「さんきゅ」と言い握手してもらうのが精一杯だった。でも、嬉しかった〜。

2nd set
1.Autumn Leaves
2.Solar
3.I Do It For Your Love
4.Three Views Of Secret
5.Felicia and Bianca
6.Estate
7.Wave
8.Velas
9.What a Wonderful World
10.Joana Francesa
11.Manaha De Carnaval
12.Bluesette
*Oscar Castro-Neves(5-7,10-12)

1stでなんか調子悪そうだったのはPAのせいもあったようだ。というのは2曲目位にPAの人がいる方に向かって、Good!と合図を出していた。98年の1stも、スピーカーをバリバリさせてよくなかった。あとバンドのメンバーとの慣れ等もあり、どうやら休養の後で元気かなぁとも思われるが月曜の1stはさけた方がよさそうだ。OFFの日は休養などしてないのか?だんだん尻上がりに音が出てくるところを見るとそのようにも感じる。とにかくPAもトゥーツも調子が上がってきて最初のもやもやが吹き飛んだ。
Three Views Of Secretは大阪ではよくやっていたらしいが東京で聴くのは初めてだ。今週のスペシャルメニューで同じ名前でカクテルがあるとのこと。それでやってくれたのかな。ラッキー!店員さんが今週のお薦めはトゥーツ作曲の「スリー・ビューズ〜」にちなんだカクテルで………と言っていたので、「それはジャコの曲だよ」と言っておいた。でも本来ならカクテル「Bluesette」とか「For My Lady」とか「Waltz For Sonny」などを作るべきではないだろうか?(^^;;;
時間制限のせいか疲れちゃったのかアンコールがなく残念。

Wednesday, April 11, 2001

1st set
1.In Your Own Sweet Way
2.The Days of Wine and Roses
3.Autumn Leaves
4.Three Views Of Secret
5.Felicia and Bianca
6.Wave
7.Comecar De Novo
8.Velas
9.What a Wonderful World
10.Manaha De Carnaval
11.Bluesette
12.Hard To Say Good Bye
*Oscar Castro-Neves(5-7,10-12)

2nd set
1.On Green Dolphin Street
2.Sophisticated Lady
3.C Jam Blues
4.Autumn Leaves
5.Felicia and Bianca
6.??? Dolphin ???
7.Estate
8.One Note Samba
9.Blue in Green
10.Solor
11.Manaha De Carnaval
12.Bluesette
13.Hard To Say Good Bye
14.Besame Mucho
*Oscar Castro-Neves(5-8,11-14)

1stは前から2番目の席だった。普通はどちらの席にしましょう?って案内役の店員さんに聞かれるんだけど、何も聞かれずに案内された。店員さんありがとう。
で、よく見るとハーモニカの3本の内1本はクロモニカ270で、ギターはイバニースでフルアコとセミアコの中間くらいのボディの厚さ、ブルーゼットはギターでやったが口笛は吹かなかった。確か96年の時口笛を吹いたら全然ピッチがあってなくてあまり吹かなかったのだが今回もそれに近いのだろうか?右耳に補聴器らしきものが見えるのだが、ハーモニカを吹いてるときはそんなことはみじんも感じられない。96年はハーモニカも調子が悪かったのだが今回は違う。
ピアニストは最近ニューヨークではケニー・ワーナー(前々回)、ヨーロッパではミッシェル・エアー(前回)の場合が多いようだが今回のピアノはちと……なのだが、トゥーツは盛んに「イェーッ」とか言って盛り上げている感じがした。いい人だぁ〜。

2ndは、全体を眺めながらと思い一番後ろの席で聞いた。やはりスピーカの音がちゃんと聞こえる後ろの方が音はいいのか?というか演奏の方も絶好調だったのか?とにかくよかった。Sophisticated Ladyはうるうるっ。その後のC JAMもドラムとデュオで数コーラスやったりアドリブのコーラスも長かった。まさに絶好調。
7曲目はMCでドルフィンと言っていたと思うのだがボサノバの僕は聴いたことがない曲だった。アンコールで2曲やったのだが、まさかベサメムーチョをやるとは、オスカーとのデュオでお洒落に演奏。
天才ハーモニカ少年太郎君が来ていて「この前ホットハウスでクロマチック吹いてたものです…」と挨拶した。「1st setも聴いてたんですよ」と言ったら太郎君のお父さんに間髪を入れず「バカ」と言われた。自分でも薄々感づいてはいたがやはりそうだったのか。でもいい演奏だった。うれしいなぁ〜。しあわせだぁ〜。



Thursday, April 12, 2001
2nd Set
1.The Days of Wine and Roses
2.There is no Greater Love
3.I do it for your love
4.Three Views Of Secret
5.Felicia and Bianca
6.Wave
7.Joana Francesa
8.Blue in Green
9.Solar
10.What a Wonderful World
11.One Note Samba
12.Bluesette
13.Hard to Say Good Bye
*Oscar Castro-Neves(5-7.11-13)

行くつもりなかったのですがある人に奢ってもらいました。ラッキー!
Karel Boehleeさん「?」を言うのは、例年トゥーツはピアノとデュオでやる部分が多くまるまる数曲やったりしてた。今回はそれがなくいまいちトゥーツの好みのコードを弾かないのかな〜と思ってしまう。トゥーツはビルエバンス系のピアノが好きでお洒落なコード弾く方が好みと思われるが、この人はもう一歩向こうのコードを弾いてしまう感じかな。この日のKarel Boehleeさんのソロはカッコよかった。ブルー・イン・グリーンはデュオでやっていた。
ベースのBart De Nolfさんは、いろんなタイプに対応できる系のようでThree Views Of Secretなどウッドでエレベみたいに弾いている。この曲が聴けたのは彼のおかげかもしれない。まだ若いのかな〜。Bruno Castellucciさんもそういうタイプかな?ボサノバ系がカッコいい。人のいいおじさんって感じ。てな感じでニューヨークの黒人系のリズムセクションではだぶんオスカーさんと合わないと思われ、ヨーロッパ系のミュージシャンでかためたのだろうか?定番の「Ne Me Quitte Pas」がなくて例年と選曲も若干違うようだ。
Oscar Castro-Nevesさんはもう凄い。一人入るだけでブラジルプロジェクトぉ!になってしまう。リズムの歯切れはいいし、バッキングしているときもアドリブに反応していろんなことやったり。普通のガットギターをシンセギターにしてストリングスやら口笛トーンやらを使ってソロを取る。チョーキングもしたりして。ん〜いい!ブルーゼットの時ブラジルプロジェクトのアドリブで使ったコードワークが出てきて、イェー!

終了後遅くまでいるとトゥーツが出てきた。またサインをもらった。(^^;; ステファン・グラッペリのバイオリンがBGMでかかると「オー、ステファン」とか言ってた。。


Friday, April 13, 2001
1st set
1.Sophisticated Lady
2.C Jam Blues
3.Autumn Leaves
4.I Loves You, Poggy
5.Summer Time
6.Felicia and Bianca
7.Wave
8.Joana Francesa
9.Velas
10.What a Wonderful World
11.Three Views Of Secret
12.Besame Mucho
13.Manaha De Carnaval
14.Bluesette
15.Hard To Say Good Bye
*Oscar Castro-Neves(6-8,12-15)

2nd set
1.In Your Own Sweet Way
2.I Loves You, Poggy
3.Summer Time
4.Autumn Leaves
5.Three Views Of Secret
6.Felicia and Bianca
7.Estate
8.Joana Francesa
9.Velas
10.What a Wonderful World
11.Manaha De Carnaval
12.Bluesette
13.Hard To Say Good Bye
*Oscar Castro-Neves(6-8,10-13)

1stは、今回僕が聞いた中で最高の演奏!音もしっかり出ていて、月曜日はVelasみたいな曲ではリズム隊に負けてしまっていたのだが、楽器がちゃんと鳴っていてとてもご機嫌な演奏だった。それを裏づけるように15曲もやっていた。
それに引き換え2ndは、………、この休憩時間に何があったのだろう?……ただすべてが悪いのではなく、1回目があまりよくなかった「Felicia and Bianca」などは2回目のほうがよかったし、推測ではあるがVelas等で「これじゃいかん!」とトゥーツが思って、ガーッと吹いた箇所やはり凄いと思った。このセットはドラムも変に出過ぎてうるさいところがあったり、Three Views Of Secretは今までになく早いテンポだったり、つくづくジャズはその場の掛け合いというかアドリブというか「生もの」でちょっとしたことでこんなにも違うものかと思った。う〜ん、1stがよくてみんな「かんぱ〜い」って呑んじゃったんじゃないだろうか?(^^;;;
尚、誤解しないでほしいのは、細かい点を較べると1回目の方がよかったというだけで、もちろん2回目だって素晴らしい水準に達している。


Satday, April 14, 2001
1st
1.In Your Own Sweet Way
2.The Days of Wine and Roses
3.I do it for your love
4.Three Views Of Secret
5.Felicia and Bianca
6.Wave
7.Joana Francesa
8.Velas
9.What a Wonderful World
10.Estate
11.Bluesette
12.Hard to Say Goodby
*Oscar Castro-Neves(5-7,10-12)
2nd
1.Sophisticated Lady
2.C Jam Blues
3.Bye Bye Brack Bird
4.Three Views Of Secret
5.Felicia and Bianca
6.Joana Francesa
7.Besame Mucho
8.Wave
9.Velas
10.What a Wonderful World
12.Manaha De Carnaval
12.Bluesette
13.Hard to Say Goodby
*Oscar Castro-Neves(5-8,10-12)

1stは、前から2番目。一人でいくと順番が遅くても空いてる隙間がある場合がある。一番前のグループが3人組だったのでちょうど座れた。で、よく見ると、な〜んかハーモニカが変〜リードプレートがメッキされてないみた〜い。え?そんな!バカなと思ったがどうやらクロモニカ270らしい。ガーン。。。でもこのステージのアドリブはよかった。I do it for your loveはめずらしく2コーラス吹ききった。Waveのアドリブもよかった。
2ndはふたりで聴いたので、スピーカーからの音がちゃんと聞こえるステージから離れた位置に座った。PAを通してハーモニカの音が良く聞こえたので、これではっきりわかりました。金曜の夜に何が起こったのか、金曜の1stは鳥肌が立つほどいい演奏だったのに、2ndがなぜ調子悪くなったのかが……メロートーンが壊れたんだ!で換えのメロートーンも多分なくクロモニカ270を使ったのだと思う。
メロー・トーンの方が息を大量に必要とする。いきなりクロモニカ270に持ち換えると吹きすぎてしまうのだ。慣れるまでに時間がかかる。でリードミスをしたり微妙な音のコントロールが出来なかったり、それに付随して音を間違えたり。吹く加減が違うからいきなりは持ち替えられない。もちろんトゥーツだからそんなことはコントロールして上手くやっているのだが、ずっと聴いてる僕からすれば違和感を感じざるをえない。バンドが大きな音だと吹き込み加減が調整できないが、小さな音だとコントロールできる。で、音量を小さくして楽器をコントロールしやすいオスカーとのデュオが3曲になったのだと思う。
あ〜、でもなんでメロー・トーンをもっとたくさん用意してなかったんだろう。今思えば月曜の楽器はちょっと7番あたりのピッチがちょっとフラット気味ような気がした。水曜日は調子よかったんだけど…金曜日の1stが本当にいい演奏だっただけに、本人の体調が悪いのではなく単に楽器がなくてというのが、なんかとっても残念。金曜も土曜も超満員。もちろんいい演奏、楽しいステージだったのでみんな満足したと思うが、メロートーンだったらもっとよかったかも。。。本当のトゥーツ・トーンを聴きたかったなぁ〜〜。

*金曜の2nd以降のセットを聴いた人にはおそらくとっても感動していたのに水をさすようなことを書いて申し訳ありません。これを伏せようかとも思ったんだけど、気がついている人もいるでしょうし、トゥーツが最高の時はもっと感動できちゃいます。きっとまた来日しますのでそれを楽しみにしてください。
繰り返しますが、すべてが悪かったのではなく部分的には良いところもたくさんありました。

*もうひとつ、クロモニカ270の方が音が悪いのではなく、息の吹き込み方(吸い込み方)の慣れの問題であって、それが適切であればクロモニカ270とメロートーンの区別は難しいでしょう。現に僕も視覚を通して楽器を見た後でそういう頭で聴いて初めてわかった。(もっとも見る前はまさかクロモニカ270を使うなんて思ってませんでしたが……)
尚、両者の構造上の違いはメロートーンの方がリードが長くなっています。メロートーンの方が息をたくさん必要とし吹きこなすのは大変です。 トゥーツの年代別の使用楽器については推測の部分もありますがこちらにまとめてあります。

そんなことはあったが、もうすぐ79歳だというのに相変わらず元気だった。ただ口笛はなくギターもあまり弾かなかったとこと見ると耳や指は衰えを隠せないのかもしれない。前回は指がもたつきながらもギター・ソロで1曲やったりもしていたのだが……。(でも、オスカーが参加していない大阪ではギターの曲も数曲あったらしい…) でも、ハーモニカは大丈夫!ハーモニカって指は使わないし呼吸が出来れば、まぁ〜音が出るので歳を取っても大丈夫なんだろうか?「まぁ〜」な音は呼吸が出来れば出せるが、本当は凄くハードな呼吸法を必要とするはずだが、トゥーツはハーモニカを吹き吸いするってこと凄く自然なことなんだろうなぁ。本当に音楽が好きで演奏しているのが楽しくってしょうがないって感じだ。ハーモニカで音が出せるうちは引退なんて考えてないだろう。これから先もまだまだライブでトゥーツ・シールマンスを聴くことが出来るでしょう。

あ〜あ、しかしお金使いすぎたな〜。バカみたいいやバカだな。でも、「うぇ〜ん、また来てしまった……」と思って後悔しつつ、いざ演奏が始まると「やっぱり聴きに来てよかった」と思ってしまうのでした。
ちなみにバカ高いブルー・ノートで無理しても通しで聴くようになったのは、知り合いにケニー・バレルにそっくりなプレイをするギターの人がいてその人はバレルが来ると全ステージ聴くと言うことを聞いたので真似してみた。その人と僕では収入が全然違うので全ステージというわけにはいかないがせっかくその場所まで行くのだから聴かずにはいられなくなってしまった。
今回は(月)と(金)(土)と予約してて、(水)もいける段取りがついて2ndだけ当日予約して行ったら1stも間に合っちゃったので入って、木曜は思いがけなく奢ってもらい、結局行かなかったのは火曜日だけ!
他の楽器の人だったら聴きに行きたいアイドルはたくさんいるだろうけど、ハーモニカ吹きの僕にとっては「トゥーツ・シールマンス」だけだし……

また来てね〜〜〜〜〜〜

©fuji-h

live report

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